2017/08/13

バンガイ諸島の食卓②

市場の鮮魚 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

ということで、島の食卓。お母さんたちのお料理を紹介していきますね。
まずは、当然、魚料理から。
定番中の定番、酸っぱい魚のスープを作っていきます。

酸っぱい魚のスープは、インドネシア沿岸部各地でよく見かけます。
海魚特有の風味を「生臭さ」と感じやすいのか、海魚のスープはたいがい酸味を効かせたもの。
魚の旨味とさっぱりした酸味の組み合わせは絶妙で、ごはんが進みます。

そのスープの酸味は何からとっているのでしょうか。バンガイ諸島では3種類の酸味料を試しました。

まずは、町のお母さんから、2種類。

このお母さん、朝はターメリックライスのお弁当を、
そして夕方には魚のツミレスープを作っては自宅で売っている、お料理上手のお母さんです。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

まず1つ目は、トーチジンジャーを使って酸味をつけたスープ。

この真ん中の、房状のものがトーチジンジャーの実です。
初めて見たときは、いったい何なのか、わかりませんでした。

インドネシア語ではクチョンブラン/Kecombrangと呼ばれますが、各地それぞれに呼び名があり、
バンガイ周辺ではティカラ/Tikalaと呼ばれていました。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

調べてみると、トーチジンジャーはマレーシア辺りのラクサでも使われる香辛料なんですね。
つぼみの状態も食用とされますが、今回使うのは花が終わった果実の部分です。

バラバラにばらけた房の部分を一つかみ、買って帰りました。

市場の鮮魚 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

そしてもちろん、魚も買います。

お母さんが選んだ魚のウロコをとって、お腹をきれいにし、適当な大きさにぶつ切りにしてもらいました。
この日は、白身のお魚を(名前は分かりません…汗)。

では、お母さんの台所に帰って、お料理開始。

唐辛子 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

まずは、基本のブンブの準備から。

唐辛子、バワン・メラ、ニンニク、トマト、塩をチョベッを使って潰していきます。
バンガイの唐辛子は、指先ほどの、小さくてとても辛い唐辛子です。

唐辛子 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

なめらかに潰したら、熱した油で香りよく炒め、粉末のターメリック、レモングラスを加えて、水を注ぎます。
唐辛子のカプサイシンが飛び散るせいで、炒めながらお母さんくしゃみがとまらなくなってました(笑)。

スープ用の魚 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

買って来た魚をきれいな水で洗い、鍋の中に。

そして、トーチジンジャーの準備開始です。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

再び、チョベッで潰していきます。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

外側の果肉の部分は、なんとなくガランガルに似た独特の風味があります。
そして、酸味のもとはこの種(の回りの白い部分)。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

ざくざくと潰していくお母さん。

トーチジンジャー Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

水適量に、潰した果肉と種を加えてよくもみほぐします。
風味が出たら、カスが入らないように漉しながら、鍋に注いでいきます。

酸っぱい魚のスープ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

お母さんの家は、石油コンロです。

あとはふつふつと煮立て、味を整えたらできあがり。
ちなみに、インドネシアの家庭で「アクをとる」という作業を目にしたことが、わたしはありません。
アク、気にしないんでしょうかね。

酸っぱい魚のスープ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

ターメリックの色がキレイなスープになります。
(アクはいつのまにか消えて、すっきりきれいになっています)

そして翌日。

酸っぱい魚のスープ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

この日は、タマリンドを使ったスープ。
味がはっきりでるタマリンドに合わせて、魚の方も旨味の強いカツオを使いました。

基本のブンブは同じで、レモングラスは使わず、ターメリックのみ。
ターメリックも、酸味同様に魚の生臭みを消す目的で使われるようですね。

酸っぱい魚のスープ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

タマリンドが入った分、色の濃いめのスープになりました。

一方、漁村のお母さんが作るスープの酸味は、というとレモン・チュイ

レモン・チュイ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

魚料理に好相性のレモン・チュイは、バンガイ諸島の食卓で大活躍。
お母さんの家では、レモン・チュイの木が大きく育って、たくさん実をつけていました。

庭先のレモン・チュイの木 Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

手前に立っているのはお父さん。
「台所の外にいっぱい生えて来るんだよ」と言います。
(種から発芽しちゃうんでしょうね…笑)

ということで、このお家ではレモン・チュイは買うまでもなく、必要なだけ庭先で採ってきて使います。
果汁たっぷりのこのレモンを絞って、酸味のスープ。

酸っぱい魚のスープ Banggai Islands_Central Sulawesi, 2017

漁村のお母さんも、ブンブ+ターメリックは同じです。

使う分量にもよるのでしょうが、印象としては、
トーチジンジャーを使ったスープは風味のある酸味、
タマリンドは厚みのある酸味、
レモン・チュイのスープはすっきりシャープな酸味、という感じでしょうか。
この他、ブリンビン・ウルー/Belimbing Wuluh(ナガバノゴレンシ)も酸味料として使われるそう。
通年あるわけではないのですが、はっきりしたシャープな酸味が魅力の果物です。

ということで、魚のスープを3種類みたところで、次回は焼き魚をご紹介します。
お腹をすかせて、お待ちください♪


0 件のコメント:

コメントを投稿